シンプル!最強!の現状把握フレームワーク「SWOT分析」

SWOT

SWOT分析は企業を取り巻くビジネス環境を分析するためのフレームワークです。

SWOTは、

S: 強み Storength

W: 弱み Weakness

O : 機会 Opportunity

T : 脅威 Threat

の英語の頭文字を意味しており、「スウォット」と呼びます。

SWOT分析では、

・ヒトモノカネやバリューチェーンなどといった内部要因

・マクロ環境や業界環境、市場、顧客要望などといった外部要因

をそれぞれの好ましい傾向(ポジティブ)と好ましくない傾向(ネガティブ)で整理します。

SWOT分析は、事業の成功要因や事業機会を導き出し、自社のビジネス環境を整理するのに役立ちます。

コンテンツ

SWOT分析とは?

SWOT分析は、まず外部要因(社外つまり自社を取り巻くビジネス環境)の 「機会」と「脅威」を分析します。

まずは、マクロ環境(政治、経済、社会、技術の側面)から、自社のビジネスに与える要素を取り出します。例えば、

政治:規制緩和、法改正

経済:景気

社会:人口減少、感染症蔓延

技術:技術革新

といった観点です。

加えて、

市場顧客分析:自社の製品やサービスを買う顧客の状況

競合分析:競争相手の企業の状況

業界分析:業界全体の構造(代替品の存在、売り先/仕入先との力関係)

を分析します。

この時、何が事業の成功要因なのかを十分に検討しておくことがポイントです。

こういった外部要因を、自社のビジネスにとって機会(ポジティブ要因)になるのか?脅威(ネガティブ要因)となるのか?をつかみます。

次に内部要因の 強みと弱みをみていきます。内部要因とは簡単に言えば、社内のヒトモノカネやバリューチェーンといったものです。内部要因の分析は、競合との比較を用いると整理しやすいと思います。

例えば、

・開発力や提供する製品やサービスの優位点

・どの程度のシェアを持っているのか

・提供する製品やサービスのブランドが市場でどれだけ浸透しているか?

・展開している事業が適切かどうか

・海外等ビジネスの展開先をどれだけ持っているか

といった要素について、自社の強みと弱みに分解し、自社の中核となる強みを見極めます。

そして先ほど把握した市場における機会と脅威に対して、自社の強みを活かして弱みを克服するには、どうすればよいかを考えます。事業のKSF(主要成功要因)と自社の強みがあっていない時は、KSF を変えるために外部環境に働きかけたり自社の強みを変えて KSF にフィットするようにするといった努力をします。

このように自社の強み弱みを把握することで、次の打ち手の検討へとつながっていくのです。

SWOT

SWOT分析の事例「日本たばこ産業株式会社(JT)」

それでは実際にSWOT分析を用いた事例を見てみましょう。ここでは日本たばこ産業株式会社 (以下、JT )の事例を見ていきます。

まずは外部要因です。

O(機会): 新興国ではたばこの消費量が増加傾向。タバコは生産地での消費量が高い傾向。

T(脅威): 喫煙人口の増減は規制の影響を受けやすい

次に内部要因を見ていきます。

S( 強み): 世界第3位の販売量。

W(弱み): 飲料事業の業績不振により近年飲料事業から撤退。

このようにSWOT分析を用いて、 JT の事業機会を考えると外部環境では新興国ではたばこの消費量が増加しておりビジネスの機会は減らないことが考えられます。また、タバコは生産地での消費量が高い傾向にありますので 海外にビジネスを展開できる可能性も見えてきます。一方で、販売時間の限定や税率アップなどの規制強化により、喫煙人口が減少する可能性があります。内部要因をみると本業であるタバコ授業には依然として競争力がある一方で、飲料事業からは撤退しています。そこで同社は成長機会である新興国市場へ経営資源を向けようとしてきたようだという解釈ができます。

たばこ産業

”クロスSWOT” で戦略、施策を考える!

SWOT分析の発展編としてクロスSWOT分析があります。これはSWOT分析から得られた項目から特に重要そうな要素をいくつか抜き出し対策を検討するものです。検討にあたっては縦軸に外部環境の機会と脅威を横軸に内部環境の強みと弱みを取りマトリックスを作成します。

ここでは企画から製造小売までを一貫して行うアパレルメーカー A 社を例に考えてみましょう。

このメーカーは価格の割に高品質で東アジアで大変人気があるブランドを持っています。しかし最近ではイメージが固定化し、低価格で商品の回転が速い海外のファストファッションブランドが脅威となっています。

S と O は自社にとっては大きなチャンスになりますので徹底的に有利なポジションを築ける戦略を立てます。

SとOは、インバウンド効果で東南アジア家でも口コミが広がり始めているため、東南アジアに進出する計画を立てます。

WとO は弱みを克服して機会を獲得していく施策を考えます。例えば新進気鋭のデザイナーと契約し、新しい顧客層を開拓します 。

S と T は自社の強みを活かして脅威の影響を抑える施策を考える必要があるでしょう。品質の良い製品をで店舗だけでなく、他のファストファッションブランドが進出していない新たな チャネルで販売することも検討するなどがあるでしょう。

W と T は自社にとってのダメージができる限り少なくなるような対策を考えなければなりません。A社では新進デザイナーの世界観を打ち出した製品を既存の EC チャンネルに特化しセレクトショップ風に展開することでブランド価値の向上の可能性もあるでしょう。

上手くいけば、それぞれの政策の波及効果が得られる可能性があります。このようにクロスSWOTはSWOT分析で導いた要素を掛け合わせることで、弱みや脅威を克服できる可能性を検討できるのです。なお経営資源は限られているので四象限の重要度緊急度も検討した上で優先順位を適切に設定することも大切です。

SWOT分析のまとめ

✔ SWOT は、 強み Storength、弱み Weakness、 機会 Opportunity、 脅威 Tthreat  の英語の頭文字を意味しています。

✔SWOT分析は自社のビジネスに影響を与える環境を把握するために内部と外部から分析することができます。

✔外部は自社を取り巻くマクロ環境や市場状況を分析し、機会と脅威を整理。

✔内部は自社のヒトモノカネやバリューチェーンを競合と比較し自社の強みと弱みを把握

✔分析から見えてきた課題をポジティブにとらえ、弱点を強みに脅威を機会に捉えることを検討して、次のうち手につなげることができる。

SWOT分析の留意点

SWOT分析のコツ・留意点を見ていきましょう。

ビジネスにおいては、SWOT分析の結果、弱みではなく強みに、脅威を機会と見なせないかといった具合に、ポジティブに考えることも必要です。例えば、規制緩和は既存のプレイヤーにとっては脅威とうつりますが、それにより市場の成長が加速することはよくある話です。その中で新しい差別化を打ち出すことで脅威が機会に、弱みが強みになる可能性もあるのです。また分析する時は企業を取り巻く経営環境の内、特に重要なものを選り分けるセンスと大胆さも求められます。ホワイトボードや付箋を用いて、各項目を埋めていき、影響度の高そうなものを残すと良いでしょう。SWOT分析には重要な要素を選り分ける大胆さとネガティブな要素をポジティブに捉える視点が 重要になります。

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