ポジショニングとは、ターゲット顧客に自社製品をどう好ましい形で認知してもらうかを決めることでマーケティングの戦略上大変重要なものです。どれだけ優れた商品であっても、まずその魅力や価値を顧客に認知してもらえなければ、数ある製品の中から選んでもらうことはできません。
ポジショニングを検討する際の代表的な手法として、ポジショニングマップがあります。ポジショニングマップとは、まず顧客のニーズに合った訴求ポイントを二つの軸として表し、その中で自社製品を有利な位置に置くことで、魅力を一目でわかるようにする手法です。ポジショニングマップを使って、競合との差別化ポイントを強調し、顧客に自社製品の魅力を認知させましょう。
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訴求ポイント2軸に絞る
顧客に自社製品の魅力を伝えようという時、どうしても多くの優れた点を伝えたくなるものです。例えば、台所用洗剤であれば、「汚れがよく落ちる」「漂白できる」「一回に使う量が少なくて済む」「除菌ができる」「手に優しい」など特徴をいくつもあげたくなってしまいます。しかし、特に消費財においては、顧客の意思決定の時間は短く、多くの魅力を伝えようとすると、結局何がいいのか分かりにくくなり、顧客の印象に残すことができません。一人の顧客が特定の製品について、強く認識する特徴は、二つまでと言われています。そのため、たくさんある特徴から二つに絞り、それを軸にするのです。これが、ポジショニングマップにおいて、まず軸となる訴求ポイントを二つに絞るわけです。
ポジショニングマップの軸の決め方
適切な軸を選ぶ方法です。
1.自社製品の特徴をいくつも洗い出す。
まず、自社製品の特徴を洗い出します。その時、例えば機能だけでなく、製品に付随するイメージも洗い出します。先ほどの台所用洗剤であれば、汚れがよく落ちるという機能に加えて、人や環境にやさしいといったイメージも出すと良いでしょう。
2.2つの軸を選ぶ
洗い出した特徴の中から、以下ポイントで軸を選びます。
1)顧客ニーズに訴求するポイント及び表現を選ぶ
例えば、オーブンレンジや炊飯器などの家電製品についてメーカーとして機能が多いという軸を押し出したいとします。ですが、もし顧客が操作が簡単な製品を求めていた場合には、魅力的だと感じて貰えません。ターゲット顧客の顕在潜在ニーズに訴求するポイントを軸に選ぶことが重要です。
2)競合との差がわかりやすいポイントを選ぶ。
競合との差が分かりやすいことです。いくら顧客のニーズを満たしていても競合も同じであれば、自社製品を選んでもらえるとは限りません。競合と差別化できるかという視点も重要です。
以上の二つを意識しながら、顧客の共感を得られ、競合と差がつく2軸を選び、自社をマップ上の優位の場所につけましょう。
事例 「SEVEN CAFE」
コンビニエンスストアのセブンイレブンは、2013年にコーヒーを1杯100円という破格の値段で店頭で売り出しました。コーヒーは、豆を一杯ずつペーパードリップしている上質なものです。それまでの常識は美味しいコーヒーを飲むためには、コーヒーショップなどの専門店で高い値段を払うというものでした。それに対してセブンイレブンはコストパフォーマンスが高く、すぐに購入できるコーヒーという新しいポジショニングを打ち出しました。これは、高性能マシンの導入により、人件費など原材料以外の費用を抑え、さらに自社の強みである店舗数の多さを活かすことができたためです。その結果として、サービス開始から3年2ヶ月で20億杯を売り上げるほどの大ヒット商品となったのです。
ポジショニングマップ作成のまとめ
では、ポジショニングについて、まとめてみましょう。
ポジショニングマップを作るには、まず自社製品の特性を列挙します。
次にその中から、顧客の共感を得られ、競合と差別化できるものを二つ選び、二軸に置きます。
最後にマップ上に、自社の製品を位置づけ、競合と差別化できていることを強調しましょう。自社製品の魅力が持つ、 早く事故選び顧客への訴求力を高めましょう。
ポジショニングマップ作成の留意事項
✔自社が描いていたポジショニングマップに対して、実際に顧客が頭の中に持っている認識をパーセプションマップと呼びます。この二つは、通常異なるものです。例えば、二社は高品質なのに安いというポジショニングをしているつもりが、顧客のパーセプションでは、安かろう悪かろうという認識だったというのは、よくあることです。常に顧客の声を聞いたり、現場を見たりすることで、自社の製品がどのように認識されているかをしっかり把握しましょう。
✔既存の差別化軸にとらわれず、まだ競合が注目していない新しい差別化軸を考えることも大切です。例えば、競合が運転しやすさの追求を争っている時に、あえて燃費の良さを打ち出すことで、ライバルに差をつけることができるかもしれません。自社が伝えたい魅力にとらわれず、顧客が何を魅力と感じているかに注目し適切なマッピングを行いましょう 。