DCF 法とは、ディスカウントキャッシュフローの略であり、ある資産が生み出す将来のキャッシュフローについて、割引率を用いて現在価値を求め、その合計値で資産の価値を計るというファイナンスにおける基本的な考え方の一つです。これは、将来のキャッシュフローは、金銭の時間的価値を考慮して割り引くことによって、現在の物の価値と同列に比較することができるという考え方に基づきます。将来にわたって資産が生み出すキャッシュフローの額を年毎に推定します。それぞれについて割引率を使って、現在価値に換算し、その現在価値の合計が、対象の資産の価値に該当します
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DCF法の利用シーン
DCF 法は事業活動において、様々な場面で活用されています。
例えば
・株式や社債の評価
・設備の取得及び売却に関する意思決定
・新製品導入の採算分析
・事業部門や企業の買収売却のための評価
などの場面で DCF 法が活用されています。
NPVとIRR
この DCF 法に関連して投資の意思決定に使われる重要な指標が2つあります。
✔NPV
一つは金額で考える NPV( net present Value の略)で正味現在価値とも言います。
資産が、将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計額から、その資産取得するための初期投資額を差し引いた値を指します。
✔IRR
もう一つが、率で考える IRR (internal rate of return の略)で内部収益率とも言います。
初期投資額に対して、資産が将来生み出すキャッシュフローの年平均利回りを指します。初期投資額と将来キャッシュフローを前提とした時、 NPV がゼロになる割引率ということもできます。
例えば、収益性を見る場合にも、利益額と利益率二通りの見方があるように、キャッシュフローを使って価値を測定する方法にも、金額即ち投資効果の規模と、率すなわち投資額に対する効率性の二つの見方があるということです。
DCF法 意思決定までのステップ
NPV と IRR の考え方を用いて、投資の意思決定をする際の方法について説明します。
✔NPV
1.将来のキャッシュフローを予測
2.そのリスクに見合った割引率を使って、 DCF 法で現在価値を求める。
3.そこから初期投資額を引いて NPV を求める。
4. NPV プラスならば投資を実施すべき、マイナスならば投資は見送るべきと判断
✔IRR
1.投資の判断基準として、投資するなら少なくともこれ以上は欲しい収益率を決める。 (尚、この基準となる収益率のことをハードルレートと呼ぶ。)
2.投資案件が生み出す将来のキャッシュフローと初期投資額を予測。
3.それらのキャッシュフローから IRR を計算する。
4. IRR がハードルレートを上回るなら投資すべき、下回るなら投資すべきではないと判断。
何らかの投資をする場合の意思決定に、 DCF 法は非常に有効です。