カスタマージャーニーとは、顧客が自社の商品サービスを購買するまでに至る行動全般のことです。そしてこれらの行動を把握するためのマップを、カスタマージャーニーマップと言います。顧客の行動を時系列で表します。
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顧客のタッチポイントの広がり
カスタマージャーニーが注目されるようになった背景には、顧客の自社の商品サービスへのタッチポイントが広がってきたことが挙げられます。タッチポイントとは、商品やサービスについて顧客が触れるすべての機会のことを指します。そこには、テレビ CM だけでなく、口コミや Web サイトでの評価、 SNS やメディアの情報など様々な情報源が含まれます。現在の顧客は、商品サービスについて、これまでとは比べ物にならないほど、たくさんのポイントから情報を得るようになりました。このようなタッチポイントの広がりから、これまで以上にお客の目線を起点としたマーケティング手法が必要となってきたのです。
従来のマーケティング手法との違い
従来のマーケティングは、顧客の視点を重視すると言いながらも、実は商品サービスを起点として、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングから施策を考えるという方法でした。具体的には、顧客を区分けターゲットを絞り、どんな商品を売り込むかを考えるという順番でおこなっていました。他方、カスタマージャーニーは顧客を起点として、ペルソナやカスタマージャーニーマップを用いて策を考えます。カスタマージャーニーは、顧客の経験を中心としたマーケティング手法であると言えます。
カスタマージャーニーマップの作成ステップ
カスタマージャーニーの作成は、ブランド戦略の確定、ペルソナの設定、カスタマージャーニーマップを描く、真実の瞬間を洗い出すという四つのステップで行います。
STEP1:ブランド戦略の確認
✔ ブランド・コア ブランドのエッセンスを抽出したもの、通常三つ程度の単語で表す。
✔ ブランド・パーソナリティ より具体的にブランドを人に例えた時のイメージを指す。
✔ ブランドポジショニング これを見た瞬間にブランドへのイメージが湧いてくる文章。
これら、三つの要素を一貫させることがブランド戦略を立てる際の肝となります。
STEP2:ペルソナの設定
自社の商品サービスを買ってくれそうな顧客を想像して、
✔ 名前・年齢・性別・住居・家族構成などのプロフィール情報
✔ よく見る Web サイト、SNS のフォローといった思考を表す情報
✔ 平日休日の生活スタイルなどの普段の行動
をまとめ、どのような人が顧客になりそうか?イメージを具体的にしていきます。
注意が必要なのは、ペルソナは必ずしも現在の顧客とは限らないということです。あくまでも自社の顧客として最も典型的な人格像を設定するものと覚えておきましょう。
STEP3:カスタマージャーニーマップを描く
カスタマージャーニーマップのイメージです。時系列に沿って、顧客の行動や 伴って起きた感情、思考を持って行きます。その上で、顧客の満足度がどのタイミングで変化するのかを書き出すことで、マーケティング施策を考えることができるのです。
真実の瞬間を洗い出す
真実の瞬間とは顧客の経験に大きく感動やサプライズを与える瞬間のことです。この真実の瞬間をコントロールすることが、マーケティングの施策を考えることにつながります。
真実の瞬間で顧客が狙い通りの行動をしているのかを確認することでマーケティング施策の効果を具体的に測ることができます。さらにその結果をもとにカスタマージャーニーマップをより精緻に書き直して、新しいマーケティング施策に生かすことができます。
カスタマージャーニーの事例 P&G
P&G は市場調査の結果、カスタマージャーニーの中で自社商品の真実の瞬間は二度あると考えました。
1度目は、顧客が商品を認知する段階で、消費者はスーパーなどの店頭で商品を見た3秒から7秒の間に CM で見たことがある口コミから聞いたことがあるという認知をすることで、商品を買うかどうか決めるとみなしました。そこで、P&Gは商品を思い出させるための商品配列やパッケージングをマーケティング施策として取り入れていきました。
2度目は、顧客が商品を使用する段階です。ここでは、顧客が自宅で商品を使用する時に、思っていた以上に使いやすい、想像以上に品質が良いと感じることが再度商品を買うかどうかに影響すると考えました。そのため、P&Gは、また使いたいと思わせるレベルでの品質を目指して、商品改良に取り組み、消費者を理解するためにオンラインコミュニティを構築しました。このように、P&Gは真実の瞬間を中心にマーケティング施策を考え、自社商品の売上向上を目指しています。
カスタマージャーニーマップ作成における留意事項
✔ペルソナを多く設定しすぎない
多く設定しすぎるとマーケティングが混乱してしまうため、ペルソナは出来る限り一人あるいは二人程度に絞りこむ。
✔最初から精緻に作ることを目指さない。
一度、ラフに作ってみて作ったカスタマージャーニーマップを必要に応じて見直していくという方法が良い。
カスタマージャーニーを通じて新しいマーケティングの手法を実践していきましょう。