ディシジョンツリーは、意思決定者が取り得る選択肢と起こりうる出来事やその発生確率で得られるリターンを樹形上に表した分析ツールです。出来事の起こる確率や得られるリターンから、最も有利な選択肢はどれかを明らかにします。決定木分析と表記されることもあります。
ディシジョンツリーでは将来の不確実な出来事について、その発生確率を想定します。そして、それぞれの出来事で得られるリターンを発生確率で加重平均し期待値として求めます。期待値は選択肢ごとに算出されるため、選択肢の比較検討がしやすくなります。
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意思決定要素を数値化する
事業A と 事業B で選択すべき事業を選択する場合の事例で考えてみます。
事業 Aを選択すると80%の確率で10億円を得られます。一方で20%の確率で失敗して、1億円損をします。
その場合、事業Aを選ぶ際の期待値すなわち事業の成功や失敗の確率を加味したリターンは、7.8億円です。
一方、新事業B を選択すると50%の確率で15億円を得られますが、50%の確率で失敗し、5億円損をします。
この場合、事業 B の期待値は5億円です。
結果、事業Bよりも事業Aへの期待値の方が大きいため、理論上の事業リターンが大きい事業Aを選ぶほうがお得と言えます。
ディシジョンツリーの作成手順
それではディシジョンツリーの作成手順を四つのステップで見てみましょう。
①意思決定者が取り得る選択肢を書き出す。
②発生する可能性のある出来事を選択肢ごとに書き出す。
この例では事業の成功と失敗という将来起こりうる出来事を選択肢ごとに書き出しています。
③出来事の発生確率と結果(リターン)を予測する
④選択肢ごとに期待値を算出する。
デシジョンツリーは様々な場面で活用できる
ディシジョンツリーは、将来起こる不確実な出来事により、得られる結果が定まらない状況下での意思決定に役立ちます。例えば、
・どの投資案件を選ぶべきか
・どのプロジェクトに注力すべきか?
・一攫千金狙いで温泉を掘り当てるべきか
などです。いずれも、どの選択肢が有利か?は、将来起こりうる出来事、例えば事業の成功受注や顧客の状況に依存します。
ディシジョンツリーのコツ・留意点
✔ディシジョンツリーでは、選択肢、出来事に抜け漏れダブりがない状態が必須です。抜け漏れダブりがあると、正しい意思決定ができません。
✔出来事の順序確率よりリターンの的確さが極めて重要です。これらを誤ると算出される期待値が異なり、的確な比較検討ができません。
✔期待値の大きい選択肢が、必ずしも最善策であるとは限りません。デシジョンツリーを使って意思決定をする場合は、期待値を参考にしながらも意思決定を取り巻く状況を鑑みて、一番有利な選択肢を選ぶということが重要になります。
是非皆さんもディシジョンツリーを意思決定の場で役立ててみてください