ロジックツリーとは、分析手法の一種で、もれなくダブりなくMECE を意識して、上位概念を下位の概念に枝分かれさせて、分解して行く方法のことです。
全体をいくつかの中項目に分け、さらに小項目に分けるといった多段階構造が木の幹から枝分かれしていくように見えることからロジックツリーと名付けられました。
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ロジックツリーを使う場面
では、どういう場面で使うのでしょうか。問題解決をするときに問題の一番大きなポイントは、どこにあるのかを絞り込んだり、あるいはその問題が発生している原因を解明したり、更にはどのような解決策があるかを幅広く考えるために用いられます。ロジックツリーを使うと体系的にアプローチすることで思考のスピードをアップさせることができるだけでなく、全体像を見る意識付けができ、思考の幅を広げて見落としを減らすことができるなどのメリットがあります。
2つの分解方法「層別分解」「変数分解」
ではよく用いられる分解の方法を二つ順にご紹介しましょう。まず層別分解です。全体を複数の部分に切り分けていきます。例えばある企業で急激に増えている離職率への対策を打ちたいと考えているとします。そこで層別分解を使って離職者の傾向を探っていきます。社員全体用年代や所属部署残業時間などで分けていきます。こうすれば、どの年代に離職者が多いのか所属する部署による違いはあるのか、残業時間は影響しているのかといった離職者の傾向がつかみやすくなり、対策も立てやすくなります。
次に変数分解です。掛け算を利用して分解していきます。例えば、売上高は数量×単価に、さらに単価は定価×(1-割引率)のように分解することができます。こうすることで、売上高を伸ばしたいという課題があるときに数量を増やすのか単価を上げるのかあるいは割引率を減らすのかなどと細分化して解決策を検討することが可能となります。
ロジックツリーの事例 「アンケート回答者へのプレゼントを考える。」
では、ロジックツリーを活用した事例を見ていきましょう。
ある飲料メーカーが新発売のトクホ飲料を PR するため、ショッピングモールでイベントを行います。そこで来場者向けにアンケートを取ることになりました。より多くの回答を得るため、回答者へのプレゼントを考えます。まず、もれなくダブりなくMECEを意識して10項目を選びます。
・モノ
・サービス
・お金/貨幣価値のあるもの
と置いてみましょう。
続いて、モノについては、
・持ち帰り可能
・持ち帰り不可
に分けてみましょう。そして、さらに
・長持ちするものか
・一瞬で消費するものか
と続けるとどうでしょう。
具体的なプレゼント案として、これだけたくさんのものが出てきました。これが、ロジックツリーを使って機械的に枝分けをしていくことのパワーです。
ではアイデアがたくさん出たところで次に絞り込んでみましょう。まず、絞り込みの評価基準を設けます。そのために、今回のイベントについて振り返ってみます。アンケート対象者となるのは、ショッピングモールの買い物客です。イベントは、トークショーがメインでアンケートには予算がかけられません。そこで評価基準として予算をかけないと手をかけず、多くのアンケートを回収する商品イベントの PR になるモノのみをあげてみました。評価基準と照らし合わせながら、プレゼントを絞り込んでいきます。予算をかけられないため、お金と同等物は避けるべきでしょう。また、サービスは人手を必要とするだけでなく、サービスを受けられる人数が限定されてしまうため、アンケートの回収数が少なくなる可能性があります。このように検討していった結果、手軽に持ち帰ることができるものに絞り込む事ができました。例えば、この中に既存のノベルティグッズなどがあれば予算をかけずに済みますし、自社商品を配布すれば商品の PR にも繋がります。
ロジックツリーのコツ・留意点
最後にコツ留意点を二つ上げておきます。
1.”もれなくダブりなく” もほどほどにです。
エレガントな階層化にこだわるあまり厳密なものを追求してしまうのは費用対効果の面でもあまり得策ではありません。枝分かれの3段目くらいからはその他を入れるなど多少のことには目をつぶり、大体あっている程度にしましょう。
2. 感度の良い切り口をたくさん持っておこうです。
例えば、ある年で軽犯罪が増えていたとします。その原因を探る為に被害者の性別年齢と住んでいる地域で切り分けて分析したところ、明確な傾向が出なかったとします。しかし、ここで犯罪の種類別、例えば自転車の盗難ひったくりなどに切り分けて発生時間や地区を分析したところ、ある傾向が見られないか等の対策が打ちやすくなるかもしれないのです。皆さんの身の回りの課題解決に是非ロジックツリーを使ってみましょう 。
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